体験する仏教  

ずっと、ずっと求めていたブッダの智慧

14歳の君へ⑬ 成仏・行と学の二つの道

こんな話を聞いたことがある。 高齢の女性が、ある大学の先生の「仏の慈悲について」の講演を聴いた帰り道でのことだ。 踏切を渡っている途中で草履の鼻緒が切れてしまった。彼女がしゃがんで鼻緒を何とかしようとしていると、警報機が鳴り始めた。 すると彼…

14歳の君へ⑫ 君もブッダになれる

お釈迦さまのことをブッダと言うことがある。ブッダとは「目覚め人」という意味で、固有名詞ではない。仏とはブッダのこと。目覚めれば君も仏だ。 では、お釈迦さまは何に目覚めたのか。それはすでに話してきたとおり、三法印というかたちにまとめられている…

14歳の君へ⑪ 人生に目的はあるのか

「君の人生の目的は?」そう、十代の若者たちに訊いてみたら、こんな答えが返ってきた。 「介護福祉士の資格を取って、この資格を生かせる仕事に就くことです」、「結婚をして幸せな家庭を築くことです」、「都会を離れて豊かな自然の中で作物を育てることで…

14歳の君へ⑩ お釈迦さまの目覚め・その7 ー絶対的なやすらぎと静寂ー

縁起がいいとか悪いとか言うよね。「縁起」は、一般には「物事が起こり始まろうとする気配」のことを言う言葉だけれど、これは本来、仏教用語の「因縁生起」の意なんだ。 わたしたちの人生は、因と縁によって紡(つむ)がれていく。因とは直接的な原因。縁と…

14歳の君へ⑨ お釈迦さまの目覚め・その6 ーあなたは私であるー

教員時代、保護者との二者面談の時間、ある男子生徒のお母さんがこんな自慢をした。 「バーに勤めているんで、夜は子どもと一緒にいてやれないんです。でも私、ナンバーワンのホステスなんですよ」 後で、生徒に「君のお母さんはナンバーワンなんだそうだね…

14歳の君へ⑧ お釈迦さまの目覚め・5 ー分別知から無分別智へー

分別(ふんべつ)のある人。それは、理性で物事の善悪・道理を区別してわきまえることのできる人だ。幼児は分別がつかないが、君はもう分別のつく年齢になっているよね。もっとも大人でも分別のない人はたくさんいるようだが。 分別知、つまり分けて別にして…

14歳の君へ⑦ お釈迦さまの目覚め・その4 ーこの世は、永遠・絶対の美しい世界だー

四苦八苦を乗り越えるため、人はさまざまな試みをしている。 20代の教え子が「会えばすぐにガミガミとボクに説教をする嫌な上司がいるんです」とグチをこぼしていた。まさに怨憎会苦だね。 彼は、頭脳明晰でスマートに仕事をこなす同僚がいて「どうあがいて…

14歳の君へ⑥ お釈迦さまの目覚め・その3 ー人工知能 VS. お釈迦さまの智慧ー

あるお坊さんが、Chat GPTに「どうすれば幸せになれるか、子どもにも分かるように」と質問したら、回答の最後の要約はつぎのようであったそうだ。 自分自身を大切にし、目標を持ち、周りの人たちと良好な関係を築き、感謝の気持ちを持ち、毎日の小さなことに…

14歳の君へ⑤ お釈迦さまの目覚め・その2 一枚の紙に雲を見る- 

三法印の二つ目、諸法無我について話そう。 諸法というのは、この世のあらゆる存在のこと。諸法無我は、「この世のあらゆる存在には、私というものが無い」という意味だ。 「エッ、ちゃんとボクはここにいますよ。『私が無い』ってどういうこと?」そう君は…

14歳の君へ④ お釈迦さまの目覚め・その1 ー万物は変化の中にあるー

釈尊は六年間、苦行を続けた。だが結果が出ない。そこで苦行を捨てる決心をして下山した。衰弱し切っていた釈尊を見た近隣の村の娘、スジャータが乳粥(ちちがゆ)を施すと、釈尊はそれを食べて体力を回復し、菩提樹の下で深い瞑想に入る。そして四十九日後…

14歳の君へ③ ーお釈迦さまが求めた、ほんとうの幸せー

東日本大震災から数か月後のことだ。わたしは、ベットにうつ伏せになっている母の腰を揉んでいた。そのとき、母はこんなことを言った。 「ああ、気持ちがいいわ。住む家があって、不自由なこともなく、こうやって息子に腰を揉んでもらえて、わたしはほんとう…

14歳の君へ② ー幸せってなんだろう?ー

[ ある新宗教のパンフレットに、三つの「幸せの条件」が記されてあった。 1.経済的に何の問題もないこと。 2. 健康であること 3.人間関係が良好であること。 この宗教に入信すると、この三つの条件が満たされて幸せになれるのだそうだ。 これを、現世利…

14歳の君へ① -南無妙法蓮華経って、十代の君に必要なものなのなのだろうか?-

南無妙法蓮華経。この言葉を君はどこかで聞いたことがあるのではないかな。 親、あるいはおじいちゃん、おばあちゃんが熱心に唱えているという人もいるだろう。 君は、南無妙法蓮華経は、自分にとっては関係のない言葉だと思っているかもしれないね。 「南無…

なぜ『14歳からの南無妙法蓮華経』を書こうと思うのか

『十四歳からの南無妙法蓮華経』というタイトルの本を上梓することを視野に入れて、「十四歳の君へ」という表題で、次回から記事を連載していきます。 これは、わたしにとってなかなか難しい仕事です。この内容とは関係ない記事も挟みながら、少しずつ連載を…

『13歳からの南無妙法蓮華経』を書くのに苦闘しています

以前、「13歳からの南無妙法蓮華経」という記事をアップしました。 これを一冊のささやかな書物にしたいと思い立ち、中学生男子との対話形式で書き進めることにしましたが、これがなかなうまく、はかどりません。 大ベストセラーとなった『嫌われる勇気』は…

意味が分からずに読経してもいいの?

今朝、わたしの許で仏教を学んでいる方から、つぎのような主旨のメールをいただきました。 「昨日、知人の葬儀に列席しました。その際、意味が分からなくても、ただ文字を目で追うだけではなく、気持ちを込めて声に出してお経を読むことで、故人を想う気持ち…

供養をしなくなると・・・

昨日、孤独死した三十代前半の男性の供養を火葬場でさせていただきました。 男性は、小さな飲食店を一人で経営していたのですが、店で急死しました。発見されるまで時間がかかり、ご遺体は腐敗し、見るに忍びない状態だったといいます(供養当日、献花のため…

インナーピース研究所の活動について

前回の記事で、宗教に距離を置いている方たちのために、IPI(インナーピース研究所)を立ち上げたことをお伝えしました。今回はIその活動内容についてお伝えします。 IPIの活動 1.オンライン・霊的生き方講座 原則、月一回、土曜若しくは日曜日に開催。 希…

インナーピース研究所を立ち上げました

わたしが僧侶として活動をしている理由。それは、この世とあの世の、すこしでも多くのたましいが癒されて、自己の仏性(仏としての本質)に目覚めていくために、御仏の手足となることにあります。 癒されて仏性に目覚めるために仏道があります。仏道を歩む上…

宗教教誨(きょうかい)とたましいの救済

教誨(きょうかい)。聞きなれない言葉ですが、辞書には次のように説明されています。 刑務所で受刑者に対して行う徳育の育成を目的とする教育活動。宗教教誨に限らない。(『広辞苑』) この活動をする人を教誨師といいます。教誨師として活動をしている宗…

努力は必要ですが、努力を超えるのが唱題です

「怠惰からは何物も生まれない。努力が大切だ」このように教員時代、生徒に言ってきました。 学校の勉強においては、努力すればするだけ知識が身につき、成績は向上します。効率のよい勉強法とそうではない勉強法があるにしても、努力なしで成績がアップする…

穏やかな法要でした

今日は、さいたま市の市営霊園で墓前法要を勤めてきました。 広大なな霊園墓地で、○○区○○列○○番というように数字でお墓の場所が示されています。墓所を見つけるのに少々苦労するかなと思ったのですが、今日は雨模様ということで、法要を営むお墓の前には、僧…

土手の草刈りをしていたら

今朝、我が道場の土手の草刈りをしていたら、お向かいの家のネコ君がやってきました。放し飼いで、自由気ままに生きている子です。 わたしの姿を見ると、いつもニャーと一声鳴いて、からだをわたしの脚に擦り付けてくるのですが、すぐに何処かへ行ってしまい…

霊園墓地での法要に行ってきました

昨日、霊園墓地の墓前法要に赴きました。 霊園墓地にはホールがあって、参拝者はそこで休憩できます。 ほとんどの霊園に僧侶の控室はありません。更衣の場はあったとしても、多くの場合、畳一、二畳のスペースです。今回もホールの片隅でお茶を頂いていまし…

別次元

大谷翔平選手は楽しんで野球をプレイしているそうです。 わたしも、教員時代、楽しんで授業をしていました(そうではない時もありましたが)。 楽しく仕事ができるというのは幸せなことです。先日、ブラック企業で歯を食いしばって働いている若者と会いまし…

深層のわたしを癒しませんか

定時制高校で教えていた、教員なったばかりのころの話です。職員室で教材研究をしていると、教頭(今は副校長という呼称です)の電話している声が聞こえてきました。 「また、そんな男と付き合っているのか。どうしていつもこうなるんだ・・・」 電話を終え…

世界と敵対しない在り方

この世は争いに満ちていて、虚偽が横行しています。このことに「そんなことはない」と反論する人はないでしょう。 何千年も前から、戦乱が止んだことはありません。周囲を見れば、虐待やいじめを受けている子どもがいて、振り込め詐欺に騙されて泣いている高…

運命

運命。それは次のように定義されます。 生前から既に定まっていて、人知の及ばないものと考えられている、その人の生死や身の上に起きる幸・不幸、苦楽などの巡り合わせ。(『新明解国語辞典』) 運命というものは、実際にあるのでしょうか。 運命学というも…

目覚めるために

目覚めるのは、「お金儲け」でも「恋」でもありません。「真実の自分に目覚める」というのが、本記事のテーマです。 「あなたは誰か」と問われれば、普通、わたしだったら、こう答えるでしょう。 「1957年生まれ、65歳の男性です。元高校教師で今は僧侶をし…

福音喫茶メリー -開かれた心で歩みたい-

横浜・野毛にある仏具店に行った帰り道、近くにある福音喫茶メリーに足を向けました。50年以上の歴史を持つお店で、前々から一度、訪ねてみたいと思っていた喫茶店です。 ですが残念なことに営業時間外で入店できませんでした(営業時間は夜の7時から11時ま…