東京都大田区の区役所職員で、福祉関係の仕事をしているsさんから、こんな話を聞きました。
ある日、役所に区民の女性から電話がありました。
「ここのところ隣のおじいちゃんの家の雨戸がずっと閉まったままなんです。呼び鈴を押しても、ノックして声をかけても応答がなくて・・・。足腰が弱っていて、遠出をした様子はないのですが」
Sさんは、その家に出かけ、通報してくれた女性と、雨戸を無理やり開けて、中に入ってみました。
おじいちゃんは、畳の部屋の食卓の前で倒れていました。すでに亡くなっていて、食卓にはメザシとご飯だけの質素な食事が載っていました。死因は栄養失調による衰弱でした。
身寄りのない人でしたので、Sさんは遺された物を整理することにしました。押入れを開けると、大きな缶が転げ落ちてきて、フタが空きました。中から出てきたのは、一万円札の束。一千万円以上の額であったといいます。
老人はふだんから、「信じられるものはお金だけだよ」と言い、人と交流することはほとんどありませんでした。銀行員も信じられないと言っていたそうです。食費まで切り詰めて押入れに貯金をし、お金だけと向き合って生きてきたのでしょう。
Sさんは「いったい豊かさとは何なんだろう、と考えてしまいました」と言っていました。
多額のお金を手にしてポツンと一人だけで生きる日々と、お金はないけれど、家族や仲間と向き合い、手を取り合って生きる日々。そのどちらが豊かな日々なのでしょうか。
衣食住のためにお金は大切です。ですが、本当に人に豊かさをもたらしてくれるものは、お金や物ではないでしょう。
仕事以外では、あまり人と交わらず、ウサギ一匹と暮らしている男性がいます、彼は「人間はウソをつくけれど、ウサギはウソをつかないからいい」と言っていました。人を信頼して裏切られ、心に傷を負ったことがあるようです。
対人関係が豊かさをもたらしてくれることがありますが、たしかに対人関係によって傷つくということもあります。ある人が「人との付き合いは、腹六分目くらいがちょうどよい」と言っていましたが、そのとおりかもしれません。
ですが絶対に傷つくことのない、まちがいなく豊かになる関係があります。それは永遠のブッダとの関係です。この関係が深まれば深まるほど、心は解放されます。また、深い安らぎと豊かさを実感することができます。
では、永遠のブッダとの関係性を深めるためには、どうしたらよいのでしょうか。わたしは、斉藤大法上人の提唱する唱題プラクティスを実践し、その深まりを実感してきました。この実践に興味のある方は、お問合せください。