『14歳からの南無妙法蓮華経』を自ら買う中学生は、まずいないでしょう
二十数回にわたって、途中に別の記事も挟みながら「14歳の君へ」を連載してきました。まだ書き加えなければいけない内容もあるのですが、これをまとめて『14歳からの南無妙法蓮華経』という一冊の本にするための作業に入りました。副タイトルは「生きる勇気の涌き出る本」です。
どのような判型にするのか、イラストはどうするのかなど、編集者と打ち合わせをすると同時に、連載のはじめから読み返して、手直しをする作業にかかっています。
『14歳からの南無妙法蓮華経』という書名の本を自ら購入する10代の若者は、まずいないでしょう。
わたしは、小学校高学年のころから『大法輪』と言う仏教の月刊誌(現在は休刊中)をよく意味も分からないままに開いていました(この本を買いに行くと本屋の店番のおばあちゃんから「えらいねぇ。お祖父ちゃんのお使いかい」と言われました)。
ひょっとしたらごく僅かな、わたしのような変わり者の少年が買ってくれるかもしれませんが、まったく期待はできません。
そのことは編集者も承知しています。ではなぜ刊行するのか。一つには「南無妙法蓮華経を日ごろ唱えているけれど、それがどういう意味を持つものなのか、詳しく知りたい」という大人がいるであろうということがあります。住職がそのような檀信徒にこの本を紹介してくれるということもあるかもしれません。
どの宗門も、寺離れ、墓じまいといった問題に直面していますが、宗門、僧侶や熱心な仏教徒は、若者が仏教に関心をもってくれるのは大歓迎でしょう。お祖父ちゃん、お祖母ちゃんや親がこの本を孫や子に「読んでみて」と手渡してくれるかもしれません。これも刊行の理由の一つです。
「生きる勇気の涌き出る本」という副タイトルに、生き辛さを抱えている若者が注目してくれたら嬉しいなと思っています。
かなり大げさに言えば、この本がお題目の信心のリバイバル(信仰復興運動)の契機になればいいなとも思っています。
ということで、わたしの所属する宗門の関連している出版社で刊行する予定です。これから編集にかなりの時間を要すると思いますが、わたしが息切れしてダウンしない限り、みなさまに刊行のお知らせをすることができるかと思います。
よく「中学生にも分かるように読み易くしたいと思います」と語る執筆者がいますが、この本は、中学生にも分かるように読み易く「したい」ではなく「しなければならない」本です。そこが難しいところですが、教員経験を生かして、なんとか完成させたいと思っています。