体験する仏教  

ずっと、ずっと求めていたブッダの智慧

「すがる」がしっくりとくる天部の神々への信仰    ー 対神関係について ー

日蓮聖人のお題目信仰や、親鸞聖人の絶対他力のお念仏信仰に「すがる」という言葉を用いることに違和感を感じると書いてきました。 ですが、まさに「すがる」という言葉がしっくりとくる信仰があります。それは天部の神々への信仰です。 天部の神とは仏法守…

海に抱かれて ー 言葉遊びを超える ー

宗教体験を言葉にするというものは、難しいものです。 「如来にすがる」、「本尊にすがる」といった表現の「すがる」に違和感を覚えるということを、前にブログに書きました。これについて「私は違和感を覚えるということはありません。神仏という大いなる存…

キリスト教に近いのは、浄土真宗ではなくて日蓮宗?

tikaintikain 『歎異抄・第9章』を読むと、唯円が師の親鸞聖人にこんな質問をしていることが分ります。 「南無阿弥陀仏を称えていても喜びの心が涌き上がってきません。どうしてでしょうか?」 この問いに対して親鸞聖人は「私にもこの不審があったのだよ」…

『14歳からの南無妙法蓮華経』を自ら買う中学生は、まずいないでしょう

二十数回にわたって、途中に別の記事も挟みながら「14歳の君へ」を連載してきました。まだ書き加えなければいけない内容もあるのですが、これをまとめて『14歳からの南無妙法蓮華経』という一冊の本にするための作業に入りました。副タイトルは「生きる勇気…

霊能と霊性は比例しません

「宿泊するホテルの部屋に入った途端、何か嫌なものの気配を感じて、わがままは承知の上で、特に理由を言わずにフロントで部屋を替えてほしいと頼んだんです。そうしたら、あっさりと応じてくれたんです」。 こんな話を何人かの知人から聞いたことがあります…

哲学者は知らない

『13歳からの地政学』、『14歳からの宇宙論』・・・といった「13歳からの~」あるいは「14歳からの~」というタイトルの本が多く出版されています。そこには、未来の世界を創る、多感な時期の子どもたちに、自分の専門分野のことを正しく分かりやすく伝えた…

修羅を生きる・その2

わたしは親族の中で変わり者だと言われてきました。父方、母方の祖父、父、おじ達は全員、経済界で生きてきて、教員になったのは、わたし一人。それも教員をする傍ら仏道修行をして僧侶になってしまいました。 妻と結婚する前に、ある百貨店の副店長を務めて…

修羅を生きる

教員時代、わたしは校長、副校長の下で主幹教諭というポジションで仕事をしてきました。複数の校長、副校長に仕えてきましたが、なぜか気が合うのは、修羅の気を帯びた上司でした。 わたしたちは人間界の住人ですが、中には地獄、餓鬼、畜生、修羅、あるいは…

本物を求める人は少ない

先日、我が家に来訪した長男と久しぶりに酒を飲みましたが、息子は驚いたように「おやじは、いつもこんな酒を飲んでるの」と言いました。 わたしが飲んでいる日本酒は、スーパーで最安値のもの。長男は家では上質の日本酒を嗜んでいるようで、その味と我が家…

夏休みが終わろうとしています

夏休みが終わろうとしています。この時期、わたしは子ども時代、いつも宿題に追われ、「来年こそは早めに宿題を終わらせよう」と思っていましたが、その反省が生かされたことはありませんでした。 中学二年生(以前の記事に登場した、わたしの「小さな弟子」…

「すがる」に感じる違和感

東京の品川区でささやかな仏教の勉強会を開いています。メンバーのほとんどが、教員時代に勤務校で開催していた公開講座「教養としての仏教」の受講者です。 勤務校は公立高校でしたから、公開講座では、わたしが日蓮宗に所属していることを自ら明かすことは…

14歳の君へ㉖ 十界は君の内にある

仏教では、全世界を低い次元から高い次元にいたるまで十の世界に分けている。この十界を低次元の世界から順に並べると、以下のようになる。 地獄界 餓鬼界 畜生界 修羅界 人間界、天界界 声聞界 縁覚界 菩薩界 如来界 このうち地獄界~天界の六つの世界を六…

14歳の君へ㉕ ご本尊とひとつになる

信仰の対象として、お寺の本堂の中心に安置する仏さまの像を本尊という。 日蓮宗でも本尊として仏さまの像をお祀(まつ)りすることがあるけれど、日蓮宗の多くの寺院では、写真のような紙幅(しふく)をご本尊としてお祀りしている。これを十界大曼荼羅ご本…

映画『怪物』と幸せ

今朝、ブログの読者からメッセージをいただいた。 是枝裕和監督の映画『怪物』の中の「誰でも手に入るものを幸せっていうの」というセリフが心に残っている。昨日アップしたわたしの記事を読んで、この言葉を思い出した。 以上がメッセージの主旨だ。 わたし…

わたしに霊能力?・・・霊能力ではないんです。

葬儀、法要で南無妙法蓮華経を唱えていると、御霊(みたま)の状態が感じられ、わたしはそれを遺族に伝えている。 「故人は、すぐにスッと上がっていかれたようです。執着のない穏やかな晩年を送られたのではないですか」 こんな感じでお伝えしている。 「そ…

引導を渡してきました。

日ごろお世話になっているお上人が急に体調を崩され、今日、代わりに霊園に法要に赴くこととなった。お上人はわたしに「引導を渡してきて」とおっしゃった。 故人はすでに荼毘に付されていて、遺骨となっていたが、まだ引導を渡されていなかったのだ。引導を…

14歳の君へ㉔ 唱題モードは無色透明

唱題、南無妙法蓮華経を唱える時のモード(心の状態)。それは無色透明だ。 「なんとしてでもアイツを負かしたい」といった思いで唱える唱題は、水に譬(たとえ)えれば、汚水の唱題。呪詛(相手に災いが及ぶように神仏に祈ること)の思いで唱える唱題は、こ…

仏になる・・・関心ありません

法話をすることもわたしの重要な活動の一つである。本日は40~50代の5名の女性の前でお話をさせていただいた。そのうちの4名は初対面であったが、皆さん、温厚で誠実な方たちばかりだった。手製の料理もご馳走になり、世間話も交えて楽しくお話をさせてい…

14歳の君へ㉓ お題目と依存

薬物依存やアルコール依存が社会の中で問題となっているけれど、君は「ボクは依存とは無縁だ」と思っているのではないかな。 だが、ほとんどの人は何かに依存して生きている。他者から受けた評価や健康や経済状況・・・。このようなものに満たされれていれば…

14歳の君へ㉒ カリスマ的支配

教員時代、わたしにこう言ってくれた生徒がいた。 「ボクは将来カリスマ美容師になります。ボクがそうなったとき、先生にまだ髪の毛があったら、ボクが先生の髪を切ってあげます」 残念ながら彼が美容師になつたとき、すでにわたしの頭はツルツルになってい…

14歳の君へ㉑ 自己実現を超えて・・・

親も学校の先生も、君が自己実現の道を歩んで行くことを願っているはずだ。自己実現の道。それは次のようなものだ。 この世の中で、自分の持っている力を最大限に発揮して、社会に貢献できる人間へと成長していく道。 自己実現した人は、他者をイジメたりな…

14歳の君へ⑳ あなたを敬います

教職を辞した後も、中学生や高校生の勉強を一対一でみている。面倒をみているのは、教員時代の教え子の子どもたちだ。勉強の始めと終わりには、相互に合掌をして礼をするのを習慣としている(勤務していた公立高校ではできなかったことだ。特定の宗教を押し…

14歳の君へ⑲ 常に涌出している心の中の泉

「足るを知る」という言葉があるけれど、これはなかなか難しいことだよね。 経済至上主義の社会では、、どれだけお金や物を持っているかが幸せの指標になっている。 ある日本人の商社マンが、東南アジアのある小さな島を訪れた時のことだ。 島民から「なんで…

お母さんの無分別智

今日は、最近六十代で亡くなった女性のお位牌の開眼法要に赴きました。 ご自宅の門前で、故人のご主人がわたしの到着を待っていてくださいました。その姿を見て、決して悪い意味ではなくて、わたしはちょっとビックリしました。 礼服を着用して黒いネクタイ…

14歳の君へ⑱ 頭を捨てよ

「毎日、仏となるために一生懸命、努力してお題目を唱えています」 そうおっしゃる、真面目に信心されている方がいる。 「それは尊いことです。頑張ってください」と申し上げたいのだけれど・・・。 多くの人は、お釈迦様の因行果徳の二法(お釈迦様の修行の…

14歳の君へ1⑰ 一般のイメージとは異なる日蓮聖人の成仏

君は、仏について、常に静かで平安な美しい世界に座している存在だと思っているかもしれないね。実際、多くの人が仏にそのようなイメージを抱いているようだ。 こんな話を聞いたことがある。 あるキリスト教の信仰者は、死後目覚めてみると、花が咲き乱れ、…

14歳の君へ⑯ 日蓮聖人の信心の核心

「鰯(いわし)の頭も信心から」という言葉がある。「鰯の頭のようなつまらないものでも、信心すると、ひどくありがたいものに思えてくる」という意味だ。 仏教の世界には、「南無妙法蓮華経」のほかにも「南無阿弥陀仏」をはじめとして、不動明王の真言、光…

14歳の君へ⑮ 運命を導く南無妙法蓮華経

教員時代、担任を務めるクラスで、入学したばかりの生徒たちに、こんなことを言ったことがある。 「高校卒業までに海外の人たちと不自由ななくコミュニケーションが取れる英会話力を身につけたいと思っている人はいるかな。この力を身につけたら、人生、大き…

14歳の君へ⑭ 仏となるための南無妙法蓮華経

「日蓮が生きた鎌倉時代、仏教の深い教理を理解できたのは、ごく限られた知識ある者のみだった。それゆえ、『法華経』を読むことすらできない庶民のために、日蓮は、南無妙法蓮華経を唱えさえすれば救われるという単純な教えを説いたのだ」 このようなことを…

閉眼と開眼ーいのちの豊かさー

「14歳の君へ」は⑬まで連載を進めてきましたが、今回はちょっとお休みです。 「60歳以上のあなたへ」といった趣の記事を書きます。 還暦を過ぎると、身近な人をあの世に送ることが多くなってきます。自分自身についても「跡を濁さずにあの世に旅立ちたい」と…