お題目のすすめ ー 13歳からの南無妙法蓮華経 ー・ その2
お題目のすすめ ー 13歳からの南無妙法蓮華経 ー その2 を アップしました。
長距離マラソンになりそうです。息切れして挫折したのでは、読むのを楽しんでくださっている方を裏切ることになります。
お導きいただけるよう御仏(みほとけ)に祈りながら、励んでまいります。
人生でもっとも重要な疑問
中学二年生になるケンタの両親は私の教員時代の教え子。その縁で、私は時々ケンタの家に赴いて勉強の面倒をみてやっています。
ある日、勉強を終えた後、ケンタは、夕食の支度をしているお母さんに話しかけたときのことを話してくれました。
「ねえ、お母さん。毎朝、なぜお仏壇で、南無妙法蓮華経って唱えているの」
「ご先祖様に感謝して、家族の幸せを祈っているのよ』
「そうなんだ。で、お母さんの思ってる幸せって何」
「それは、家族みんなが健康で豊かに仲良く生きることよ」
「ふーん、じゃあ、お母さんの言う幸せって、いつ無くなるか分からないものってことだね」
「えっ、どういうこと」
「このあいだ、テレビで東日本大震災の時の映像を見たんだ。昨日まで家族仲良く暮らしていた人が、今日、それを一瞬のうちに失ってしまうってこともあるんだよね。」
「それは、そうだけど」
「でさ、南無妙法蓮華経ってどういう意味なの」
「それは・・・。そんなことより、アンタ宿題をまだ済ましてないでしょ。さっさとやってしまいなさい。アンタ、最近ちょっと怠けているんじゃないの」
そうお母さんに叱られて、話はそれっきりになってしまったそうです。
この話を私にしたあと、ケンタは私に質問しました。
「先生は、お坊さんですよね。南無妙法蓮華経ってどういう意味なんですか。幸せってお母さんが言うようなことなんですか」
「ケンタ、君は今、人生でもっとも重要な質問をしているのだぞ。このような問いを発する中学生はめったにいない。君は賢い。偉い」
そうほめると、ケンタはちょっと照れくさそうな顔をしました。
「南無妙法蓮華経には非常に深い意味がある。このことをについて、今度じっくりと話をしよう。幸せとは何か。このことについて、君と一緒に考えてみたいとも思う」そう言って、その日はケンタと別れました。