体験する仏教  

ずっと、ずっと求めていたブッダの智慧

草も木も仏と成る

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中学時代、「技術家庭」の課題で、家で菊の花を栽培したことがあります。わたしは、立派な花を咲かせて賞をもらいました。

特別な肥料をやったり、環境に配慮したりといったことは何もしていません。ただ、誰もやってないであろうことを一つ試みました。それは「菊に言葉をかける」ということです。「スクスクと成長しておくれ。立派な花を咲かせるんだよ。大切に育てるからね・・・」毎日菊に、そんな言葉を愛情を込めてかけ続けました。

なぜこんなことをしたのか。それは当時、ある本で、クリーヴ・バクスターという人の「植物は他者の思考を読み取り、感情的に反応している」という説を知ったからです。これはバクスター効果と呼ばれています。わたしは、菊はわたしの愛情のこもった言葉を受け止め、健やかに成長するに違いないと考えたのです。

「オレはバクスター効果によって、菊の栽培で賞を獲得したのだ」そう、わたしは友人にえばりました。すると友人は冷笑しながら言いました。「オマエの母さんが、知らないところで、菊の手入れをしていたんじゃないか。そうに違いない」

たしかに多くの学者はバクスター効果を認めていません。ですがこの効果を「厳然とした事実である」と肯定している心理学者もいます。

日蓮聖人は「法華経は草木も仏となし給う」と言われました。能には柳の精が法華経の功徳によって成仏するという物語もあります。

「草木にも仏性(仏となる性質)が宿っており、草も木も、人の法華経による祈りを受け取って仏となる」というのが聖人の教えです。

そういえば、お世話になっている、花づくりが好きな尼僧さんが、愛情のある言葉を常にかけながら花を育てていらっしゃることを思い出しました。花づくりの名人が同様のことをしているという話を、数年前、どこかで読んだ記憶もあります。

わたしが中学生のとき、慈しみの言葉をかけながら菊を育てたのは、日蓮聖人の教えからいっても、決して間違ってはいなかったのだろうと思います。わたしは少年期から仏教的な感性を持っていたのでしょう・・・と言いたいところですが、実は偉そうなことは言えません。

先日、自室で育てていた観葉植物を、妻が洋間に持って行ってしましました。妻は、わたしが時々水をやるのを忘れて、植物が元気をなくすことがあるのを憐れに思ったようです。

観葉植物は、わたしの手を離れて、洋間でスクスクと元気に育っています。